【最新】派遣会社大手8社のマージン率比較一覧

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労働者派遣法が改正され、人材派遣会社は様々な情報を開示しなくてはならなくなりました。

「マージン率(派遣会社の取り分、ピンハネ率)」に関しても、順次、公開が義務付けられた項目の一つです。

マージン率は、わたしたちが派遣会社を選ぶ時の一つの判断材料にもなります。

そこでこの記事では、派遣会社が現在公開している最新のマージン率のデータについて調べたので、詳しく解説させていただきます。

人材派遣会社のマージン率の仕組みと計算式


マージン率とは「派遣料金から派遣社員への賃金を引いた金額の割合を表すもの」で、以下の計算式で求められます。

マージン率=(派遣料金の平均額-派遣社員の平均賃金)÷派遣料金の平均額

派遣会社は登録スタッフを企業に派遣して、派遣先の企業から派遣料金を受け取り、賃金として登録スタッフに還元した残りが人材派遣会社の取り分となります。

ただ、派遣労働者の料金額から賃金を差し引いた全額が、派遣会社の利益になる訳ではありません。

そこから派遣会社は、「社会保険費・福利厚生費(有給休暇費用など)・教育研修費・諸経費」などを支払うので、派遣会社として残る利益は、派遣労働者の料金の3割程度が相場となります。

『7(派遣社員の賃金):3(派遣会社の取り分)』になりますが、最後に残る派遣会社の利益としては2%未満程度と、手元に残る利益としては微々たるものです。

ただ、派遣で働くわたしたちからすれば、ピンハネ分は少ないに越したことはありません。

ですが、派遣会社側が受け取る手数料が少なくなると、それだけかけられる経費も少なくなるので、例えば『人件費のコストを削減し過ぎて、サポート・対応に不満が出る(例 就業後は派遣スタッフは放りっぱなし、社員の給料を下げ過ぎて、すぐ辞める・定着率低下につながる)』などのリスクもあるのです。

また、最悪のケースでは事業悪化になる恐れもあるので、一概にマージン率が低いから正義とも限らないのです。

マージン率は派遣会社を選ぶ時の判断材料にもなる


厚生労働省は、最適な派遣会社を選ぶ一つの方法として、マージン率を調べることを推奨しています。

ただ、前述したとおり、マージン率が低いから良い派遣会社とも限らないので、マージン率だけでなく口コミ・評判もあわせてチェックしておくことで、良い派遣会社に登録できます。

派遣会社を選ぶ時には、インターネットで口コミを調べるのと同じように、一つのデータとしてマージン率を把握しておくと良いでしょう。

現在では、マージン率の開示だけでなく、教育訓練の取り組み状況も情報提供が義務化されています。

雇入れ時(派遣開始時)には、派遣料金を書面やメールなどで明示することが義務化されているので、納得してから契約するようにしましょう。

参考外部リンク:派遣労働者・労働者の皆様(厚生労働省)

【最新比較】人材派遣会社大手8社のマージン率一覧

大手で人気のある派遣事業者認定8社に絞って、マージン率を調査しました。

大手の派遣会社では、事業所ごとにマージン率が公表されています。

バラバラの地域を調査しても意味が無いので、人気エリアである『新宿』(新宿支社がないリクルートスタッフィングは銀座本社、パソナは本社)でマージン率を比較しているので参考にしてください。

派遣会社 派遣労働者の1日の賃金 マージン率
テンプスタッフ 13,080円14,863円→15,054 円→14,712 円 30.2%→21.1%→25.0%30.2%
スタッフサービス 12,525円13,805円→14,304 円→14,393 円 29.5%→27.2%→28.6%29.5%
リクルートスタッフィング 14,086円15,039円→14,656 円→14,815 円 30.0%→30.7%→30.7%31.4%
アデコ 12,822円13,114円→15,386 円→14,999 円 33.1%→43.9%→28.2%27.8%
パソナ 16,086円18,878円→17,870 円→17,496 円 28.4%→31.0%→31.5%30.8%
ウィルオブワーク 11,631円12,101円→12,788 円→13,136 円 33.2%→31.4%→30.8%28.6%
ランスタッド 12,260円12,516円→13,728 円→13,355 円 27.6%→40.0%→33.0%25.2%
マンパワーグループ 14,234円14,492円→15,363 円→15,193 円 29.7%→29.8%→30.0%31.1%

エリア限定でマージン率を比較すると、マージン率が1番低かったのはランスタッドの『25.2%』で、1番高かったのがパソナの『30.8%』でした。

派遣社員の1日の賃金は、扱っている案件の職種・業種が異なる部分はあるものの、1番高いのがパソナの17,496円で、1番安いのがウィルオブワークの13,136円でした。

前年度と比べると、各社のマージン率の差が少なくなっており、おおよそ30%ほどが平均値となっています。

パーソルテンプスタッフのマージン率

パーソルテンプスタッフ新宿オフィス

  • 派遣労働者の数:11,925人
  • 派遣先の事業所数:3709件
  • 労働者派遣の料金1日(8時間あたり)の平均額:21,064 円
  • 派遣労働者の賃金1日(8時間あたり)の平均額:15,054 円
  • マージン率:30.2%

(対象期間2022年度)

スタッフサービスのマージン率

スタッフサービス新宿第一オフィス

  • 派遣労働者の数:4,316 人
  • 派遣先の実数:1,380件
  • 労働者派遣の料金1日(8時間あたり)の平均額:20,421円
  • 派遣労働者の賃金1日(8時間あたり)の平均額:14,393円
  • マージン率:29.5%

(対象期間2022年4月1日~2023年3月31日)

リクルートスタッフィングのマージン率

リクルートスタッフィング銀座本社

  • 派遣労働者の数:38,693人
  • 派遣先の実数:11,975件
  • 労働者派遣の料金1日(8時間あたり)の平均額:21,609 円
  • 派遣労働者の賃金1日(8時間あたり)の平均額:14,815 円
  • マージン率:31.4%

(対象期間2022年4月1日~2023年3月31日)

アデコのマージン率

アデコ首都圏7

  • 雇用安定措置を講じた人数:1,132人
  • 派遣先の実数:668件
  • 労働者派遣の料金1日(8時間あたり)の平均額:20,778円
  • 派遣労働者の賃金1日(8時間あたり)の平均額:14,999円
  • マージン率:27.8%

(対象期間2022年1月1日∼2022年12月31日 )

パソナのマージン率

パソナ本社

  • 派遣労働者の数:5,728人
  • 派遣先の実数:2,228件
  • 労働者派遣の料金1日(8時間あたり)の平均額:25,292円
  • 派遣労働者の賃金1日(8時間あたり)の平均額:17,496円
  • マージン率:30.8%

(対象期間2022年度 )

ウィルオブワークのマージン率

ウィルオブワーク新宿本社

  • 派遣労働者の数(1日平均):2,003人
  • 派遣先の実数:1,157件
  • 労働者派遣の料金1日(8時間あたり)の平均額:18,408円
  • 派遣労働者の賃金1日(8時間あたり)の平均額:13,136円
  • マージン率:28.6%

(対象期間令和4年4月1日∼令和5年3月31日 )

ランスタッドのマージン率

ランスタッド新宿事業所

  • 派遣労働者の数:4,462人
  • 派遣先の実数:2,017件
  • 労働者派遣の料金1日(8時間あたり)の平均額:17,866円
  • 派遣労働者の賃金1日(8時間あたり)の平均額:13,355円
  • マージン率:25.2%

(対象期間2023年4月1日∼2024年3月31日 )

マンパワーグループのマージン率

マンパワーグループ新宿オフィス

  • 派遣労働者の数(2022 年 12 月 28 日時点の雇用者数) :1,154人
  • 派遣先の実数:470件
  • 労働者派遣の料金1日(8時間あたり)の平均額:22,040円
  • 派遣労働者の賃金1日(8時間あたり)の平均額:15,193円
  • マージン率:31.1%

(対象期間2022年1月1日∼2022年12月31日 )

注意

各社のマージン率を一部ピックアップしていますが、派遣労働者の数が少なかったり、運営経費が嵩んでいるケースなど、マージン率が高過ぎたり低過ぎたりしているケースもあるので、あくまで参考程度に考えて下さい。

とくにマージン率(ピンハネ率)が低かった派遣会社はランスタッド

ランスタッドのマージン率を全ての支社調査したところ、一番低くて22%~程度と、他社と比べて搾取率は低いと感じます。

この数値を見る限り、派遣社員への適切な教育訓練を設けつつ、徹底したコスト削減に会社をあげて取り組んでいることが分かりますし、派遣社員への還元率の高さもバッチリです。

搾取されない派遣会社に登録したいなら、ランスタッドへの登録を検討することをおすすめします。

ですが、支社によっては40%以上の高いマージン率の場合もあるので、気になる方は登録前に「派遣会社名 マージン率」で検索して調べておきましょう。

マージン率を公開しているページには、派遣社員に対してどのような教育訓練や研修を行っているかも公開されています。

マージン率が高くても、派遣社員に対するキャリア支援やスキルアップ研修が行われていれば問題ありません。

ですが、登録スタッフに対しての支援が少ない場合は、バック率重視で派遣会社を選びたいというのが本音です。

1日の賃金が一番高かった派遣会社はパソナ

マージン率ベースで考えると、大手8社で最も搾取率が低い派遣会社はランスタッドでしたが、一日の賃金ベースで見ると、パソナの一日の賃金は17,496円と非常に高く、単価の高い仕事を多く取り扱っていることが分かります。

この金額は、ウィルオブワークの13,136円と比べると4,000円ほど高くなり、高単価・高時給の案件を探しているなら大手老舗のパソナに軍配が上がります。

取扱う得意職種が各社異なるので、単純に賃金の差を比較することはできませんが、高給与の派遣の仕事に就きたいと考えているなら、パソナのように事務・オフィスワーク、IT・エンジニアの求人に力を入れている派遣会社を選択するのが賢明でしょう。

また、パソナはマージン率も30.8%(パソナ本社)と搾取率が低く、とくに事務・オフィスワークでの職を探している方は登録要検討の一社です。

派遣会社はマージン率等の情報の提供を行う必要があります

あなたは、これから登録する派遣会社、今登録している派遣会社のマージン率を把握していますか?

派遣事業者はマージン率等の情報の提供をする義務があると労働者派遣法で定められています。

参考外部リンク:労働者派遣法 23条5項

CHECK
派遣元事業主は、労働者派遣事業を行う事業所ごとの派遣労働者数の事項等、あらかじめ関係者に対して知らせることが適当である事項について情報の提供を行わなければならない。(法第23条第5項、施行規則第18条の2)

参考外部リンク:マージン率等の情報提供について

ここに掲載している派遣会社は、マージン率がホームページ上で公開されていた為、データをネット上で調査することができました。

しかし、マージン率がWEB公開されていない派遣会社も一部存在しているので、どのくらい搾取されてるのか分からないグレーな部分が多いのも否めないのは事実です。

ただ、マージン率(人材派遣会社の取り分)に関しては、冒頭でも述べたように「マージン率=派遣会社の利益」と100%なる訳ではありません。

実際には、手数料の中から教育訓練費・諸経費などの経費を引いた分が、派遣会社の利益になるので、マージン率が高い人材派遣会社が荒稼ぎをしているとは限りません。

あくまで基準となる一つの数値に過ぎないのです。

しかし、厚生労働省がマージン率を適切な派遣会社を選ぶ時の一つの材料とすることをお勧めしているので、派遣業界全体の活性化のためにも、もっと積極的に手数料率が公開されるのを祈るばかりです。

手数料率が低い派遣会社で働いた方がバック率が良いのに違いはありませんからね。