はけんけんぽ(人材派遣健康保険組合)

「派遣社員は社会保険制度が整っていない」

そんなイメージを抱いている方も沢山いるでしょうが、実は派遣社員の社保は専用の健康保険組合が存在し、しっかりとしたサービスを受けられる仕組みになっています。

人材派遣健康保険組合※通称「はけんけんぽ」は、派遣社員の働き方に合わせた制度があるのも特徴で、他の健康保険組合よりも優れている部分もたくさんあるのです。

ここでは、はけんけんぽのサービス概要についてまとめているので詳しく解説させていただきます。

はけんけんぽ(人材派遣健康保険組合)とは?

はけんけんぽとは、派遣社員の為の健康保険組合のことです。

正式名称は「人材派遣健康保険組合」で、派遣社員の生活や福祉制度の安定のために、平成14年5月に設立されました。

はけんけんぽは、派遣スタッフで働く方の為に作られているので、終身雇用を前提とした一般の健康保険組合とは異なり、派遣社員に有利な独自の特徴があるのが特徴です。

その特徴の一つとしては、1つの契約を終了して次の派遣先に就くまでの間も、以下の3つの条件を満たしていれば、被保険者でいられること。

  1. 同じ派遣会社で、登録型の派遣スタッフとして就業している
  2. 派遣契約終了時に、次の派遣(1カ月以上)が確実に見込まれている
  3. 派遣期間終了後、1カ月以内に次の派遣先に就業する

一般の健康保険組合であれば、退職と同時に健康保険組合も脱会しなければなりませんが、はけんけんぽの場合はブランクが空く間もカバーしてもらえる特徴があります。

はけんけんぽの任意継続について

はけんけんぽの任意継続とは、派遣期間終了後も希望すれば引き続き、被保険者でいられる制度。

この任意継続を利用するには、以下の条件を満たしている必要があります。

  1. 退職などにより被保険者資格を失った人
  2. 退職日まで、継続して2カ月以上被保険者であった人
  3. 退職日の翌日より20日以内に任意継続被保険者になることの申請をした人

これによって、退職後2年間は任意継続被保険者でいることが可能です。

毎月10日に自分で保険料を納入する必要があり、前納制度を利用すると、4%の割引を受けることも可能で、任意継続被保険者である期間に、就職して他の健康保険の被保険者となる場合は、はけんけんぽの脱会手続きが必要になります。

はけんけんぽ加入で健康診断の費用補助が受けられる

はけんけんぽでは、被保険者(本人)、配偶者、任意継続被保険者に対し、健康診断の費用補助を行っています。

主に「人材派遣会社が行う定期健康診断」と「個人的に健康診断を受診する」2パターンになります。

健診コースとしては

  • 特定健診
  • 基本健診A
  • 基本健診B
  • 生活習慣病健診
  • 生活習慣病総合健診
  • 人間ドック
  • 乳がん検査
  • 子宮頸がん検査
  • 乳がん・子宮頸がん検査(セット)

を、受けることが可能です。

「特定健診」という基本的な健康診断に関しては「診察、身体計測、血圧、血液検査(脂質・血糖・肝機能)、尿検査等」が自己負担額0円で受診できます。

はけんけんぽで行われている健康診断は、一般的な企業と同程度のものを受けられるので、十分過ぎる内容です。

また、乳がん検査と子宮けいがん検査を両方受けても、35歳以上の人であれば、税別1400円とかなり自己負担が少なくて済みます。

住んでいる自治体によっては、このような検診に対し、いくらか補助も出ますが、割引率ははけんけんぽの方が大きい場合もあるので有効に活用しましょう。

詳しい自己負担額が知りたい方は参照元である「はけんけんぽ健康診断」のページをご覧ください。

はけんけんぽで行われている保険給付

はけんけんぽに加入すると、病気、怪我、出産、死亡、退職、怪我や病気で4日間以上休んでお給料が貰えないなど、不測の事態が起こった時に受け取れる給付があります。

療養に対する給付

業務外での怪我や病気に関して支払われる保険給付です。被扶養者でもOKで、その場合は「家族療養費」と言います。自己負担は3割で年齢により2割、1割と負担割合は違ってきます。

入院時食事療養費

入院時の自己負担とは別に、入院した時の食事に対して支払われる給付です。1食360円×3食=1080円(限度)を負担し、それを超える分ははけんけんぽが負担してくれます。

高額療養費制度

医療費の自己負担額が高額になった場合に、一定の自己負担限度額を超えたものに関して払い戻しが受けれる制度

傷病手当金

業務外の怪我や病気で給与が貰えない場合に、標準報酬日額の3分の2相当額が支給される給付。病気や怪我で勤務できず、収入がない間をサポートするための制度で、3日以上連続して休んだ場合、4日目から支給されます。

出産育児一時金(出産費用の助成)

出産する時の補助として支払われる給付。被保険者(本人)や被扶養者(家族)が出産した時に42万円を受け取ることができます。

出産手当金

妊産婦自身が働いていて出産の為に休んだ期間の生活費の一部として支払われる給付です。傷病手当金と同様に標準報酬日額の3分の2相当額が支給されます。

埋葬料

新しい生命の誕生の他にも、被保険者(本人)や被扶養者(家族)に万が一の事があった場合にも、埋葬料(家族埋葬料)として遺された家族に5万円が支給されます。

詳しくは、参照「はけんけんぽ保険給付一覧」に掲載されているので、こちらをご確認ください。

出産育児一時金と出産手当金は、以下の条件を満たしていれば、退職しはけんけんぽを脱退していたとしても請求することが可能です。

  • 継続して1年以上、被保険者であった
  • 資格失効後、6カ月以内に出産した
  • 出産日または出産予定日が退職日から42日以内
  • 退職日に仕事を休んでいた

上記条件を満たせば、はけんけんぽ脱退後も受給資格を有するので、女性は特にしっかり覚えておきましょう。

はけんけんぽの保険料は高い?それとも安い?

はけんけんぽの保険料は、一人ひとりの給与水準によって異なりますが、中小企業に勤務する労働者が加入する「政府管掌健康保険」と比較すると、かなり割安です。

これは、被保険者である派遣社員と人材派遣会社が保険料を折半しているので、保険料が低く抑えられているのです。

派遣スタッフは、はけんけんぽ以外にどんな選択肢があるの?

派遣社員は、何もはけんけんぽ(人材派遣健康保険組合)だけが選択肢ではありません。

夫の扶養家族として、配偶者の社会保険に加入しておくことも選択肢の一つです。

また、はけんけんぽではなく、リクルートスタッフィングの「リクルート健康保険組合」など、独自の社会保険制度を用いている人材派遣会社もあります。

その人材派遣会社の系列や、親会社が設立している健康保険組合に加入できるケースや、同業種のいくつかの会社が独自に設立している健康保険組合に加入できるケースがあるのです。

特に、大企業を親会社に持つ人材派遣会社の場合は、保険加入者も多いので、保険料の面に加えて、保養施設や娯楽施設の割引等、福利厚生面が充実しているところもあります。

派遣スタッフがはけんけんぽに加入するメリット、デメリットは?

派遣社員がはけんけんぽに加入するメリットは沢山あります。

【メリット】

  • 派遣会社の負担があるので、保険料の自己負担が抑えられている
  • 派遣先が変更になっても、継続して加入できる
  • 派遣期間終了後も任意継続が選択できる
  • 被保険者だけでなく、扶養してる家族も健康診断が受診できる
  • 数万円する生活習慣病総合健診が税別7,400円で受けられる

【デメリット】

  • 大手企業の健康保険組合のように、保養施設の割引などのサービスがない
  • 手取りが少なくなる

加入に関しては基本的にマイナス要素は少ないですが、中には、健康保険組合に入ると給与からその分引かれることになるので、手取り額が少なくなるという声も一部ありますが、基本的に2カ月以上の期間の契約が見込まれる場合は健康保険や厚生年金は加入が義務付けられています。

人材派遣会社の中には加入義務があるのにも関わらず、加入させていないケースもちらほらありますが、基本的には強制加入で断ることはできません。

はけんけんぽには派遣社員の不測の事態に備えた制度が充実しています。

保険料も派遣会社と折半で高額ではありませんし、派遣先が変更になる期間も継続可能で任意継続もできるとなれば、派遣社員にとってもかなり大きなメリットになるんじゃないでしょうか。