派遣社員の失業保険について徹底解説
派遣社員として働いていたけれど、
- 出産の為に離職した
- 転職を考えて退職を決意した
- 人材派遣会社が倒産してしまい転職せざるを得なかった
- ずっと働いていた派遣先から切られてしまった
…など、離職する理由は様々。
離職した時、派遣社員だからと「失業保険の存在は知っているけれど、正社員の制度だから私は関係ない…」と決めつけていませんか?
実は派遣社員も正社員と同様に、失業保険を受給できる権利があるのです。
このページでは、派遣社員の失業保険について徹底的に解説しています。少しでも疑問に思う事があるなら、目を通してみて下さい。
目次
派遣社員でも失業保険は貰えるの?
派遣社員でも失業保険(=雇用保険)を受給することは出来ます。
失業保険は正社員のみの制度だと思い込んでいる人も多いですが、それは大きな間違い。
一定の条件を満たしている派遣スタッフであれば、正社員と同様に失業保険の受給資格を有します。
派遣社員の失業保険の受給資格について下記で解説します。
失業保険の受給資格って決まっているの?
失業保険の受給資格は主に3つです。
- 雇用保険の被保険者
- 離職までに12カ月間、雇用保険に加入している
- すぐに新しい仕事を始めたいという意欲がある
1.雇用保険の被保険者
まず、1つ目の「雇用保険の被保険者」については
- 派遣契約上、1週間あたりの所定労働時間が20時間以上であること
- 契約期間が31日以上であること
- 65歳未満であること
派遣社員の場合は、以上の3つの条件を満たした場合に、雇用保険への加入が義務付けられています。
65歳以上の人の場合は、雇用保険の被保険者ではなくなってしまうので、ここはしっかりと覚えておいて下さい。
万が一、これらの条件をきちんと満たしていたのに、離職してから雇用保険に加入していないことが判明した場合は、遡って雇用保険に加入出来る場合もあるので、ハローワークに相談しましょう。
派遣社員だからといって、泣き寝入りしてしまっては勿体ないです。
2.離職までに12カ月間、雇用保険に加入している
次に「離職までに12カ月間、雇用保険に加入している」についてですが
- 離職の日以前2年間に、雇用保険に加入していた期間が12カ月以上ある事
- 離職した日から遡って、1カ月ごとに区切った期間に、賃金の支払いがあった日が”11日以上”ある月が12カ月以上ある事
この2つの条件を満たしている必要があります。
派遣社員の場合、雇用契約によっては、月の勤務日数が足りない場合もあるので気をつけましょう。
3.すぐに新しい仕事を始めたいという意欲がある
そして、最後に「働く意欲」についてですが
例えば、離職して、専業主婦(夫)になることを想定している場合は、この条件には合致しません。
また、派遣社員は女性の割合が多いので、妊娠や出産、育児を理由に離職した場合には、いくら働く意欲があったとしても、すぐに働ける状態ではないと見なされ受給資格は与えられません。
しかし、こういった正当な理由の場合は失業保険の受給を延長することも可能なケースもあるので、少しでも不安に思う事があるなら、ハローワークに相談しましょう。
「自己都合」と「会社都合」の違い
失業保険の受給者は離職理由によって
- 「自己都合」 一般受給資格者
- 「会社都合」 特定時給資格者
の2つに分けられます。
離職に至る理由は、個人個人異なりますが、
例:転職をする目的で離職した人は「自己都合」
例:会社の倒産や解雇によって離職した人は「会社都合」
となります。
ちなみに、セクハラやパワハラ等の要因で離職を余儀なくされた場合には、自己都合でなく、会社都合にする事が出来るので、覚えておきましょう。
つまり、自ら辞める事を決めた場合は自己都合。
会社に辞めさせられた場合は会社都合になるのです。
自己都合退職と会社都合退職では受給資格も異なる
・自己都合退職(失業保険の受給資格)
「離職の日以前2年間に、雇用保険に加入していた期間が12カ月以上ある事」
・会社都合退職(失業保険の受給資格)
「離職の日以前1年間に、雇用保険に加入していた期間が6カ月以上ある事」
このように会社都合の場合は、受給条件のハードルが低くなるのです。
自己都合 | 会社都合 | |
最短支給開始日 | 3カ月7日後 | 7日後 |
給付日数 | 90~150日 | 90~330日 |
最大支給額 | 約118万円 | 約280万円 |
会社都合の場合は、自己都合よりも支給開始日が早く、給付日数も多くなる可能性があります。
給付日数は、雇用保険に加入していた期間と、離職した時点での年齢に応じて、期間が異なる仕組みです。
また、給付金額は離職するまでの6カ月間の賃金と年齢、勤続年数によって計算され、支給されます。
派遣社員の契約満了での退職は自己都合?それとも会社都合?
派遣社員は基本的に契約期間が決まっているので、自己都合になるのか?それとも会社都合になるのか?疑問に思う方は多いですが、派遣契約期間満了による離職は「自己都合」としての扱いになります。
会社都合退職の方がメリットがあるのは明らかですし「いや、こんなの会社から一方的に切られたんだから会社都合でしょ!」という不満の声も聞こえてきそうですが、契約期間満了の場合は基本的に自己都合となります。
ただ、例外も一部あり、会社都合退職とみなされるケースもあります。
それは
- 登録していた派遣会社が倒産した
- 派遣会社から解雇された
- 契約満了後に新たな派遣先を探したものの、一ヶ月以上、就業先が見つからなかった(新しい仕事を紹介されなかった場合)
上記ケースにあたる場合は、会社都合退職とみなされますが、レアケースなので、実際は自己都合退職となるのが一般的です。
離職票が届かない…そんな時はどうする?
早く離職票を持ってハローワークに行って、失業保険の手続きを進めたいのに、派遣会社から離職票がなかなか送付されてこない。。そんなケースも散見されます。
この場合の対応としては、登録していた人材派遣会社に直接電話で問い合わせましょう。
mailだと確認し忘れるという可能性もあるので、電話で直接担当者に言う方が確実です。
ただ、離職して1カ月経たない内に離職票の催促を派遣会社にしてしまうと、離職理由が100%自己都合になるので気を付けましょう。
失業保険を受給中に次の仕事が決まったら?
一度離職をしても、その後もまた派遣スタッフとして再就職される方や、他の雇用形態で就業を開始する人も多数いることでしょうが、失業保険を受給している期間中に次の就職先が決まったのであれば、ハローワークに就職が決まった旨を申請する必要があります。
失業保険は終了しますが、ハローワークに申請する事で、いくつかの条件を満たせば「再就職手当」を受給できるようになるのです。
失業保険を全て受け取るよりも、総支給額は少なくなりますが、その分新しい仕事での給与が入ってくるようになります。
失業保険に頼らないリスク管理を!
契約満了になった時点では「次の派遣先を見つける事が出来る」とみなされるので、失業状態であることを認められず、結果として自己都合としてみなされてしまいますが、大手優良の人材派遣会社であれば、一つの契約が終了しても、すぐに次の派遣先を紹介してもらえるので、失業保険を貰わなきゃいけない状態までになってしまう事は少ないでしょう。
ただ、企業との取引数の少ない人材派遣会社の場合は、次の派遣先を紹介してもらえずにお金に困ってしまうケースも十分想定されます。
このように、派遣は一部雇用に不安定な要素も抱えていますが、大手優良人材派遣会社に数社登録していれば、まずもって仕事が無い状態になることはありません。
失業保険というのは、あくまで本当に困った時の命綱なので、働かないでお金が欲しいというような甘い考えは持たない方が賢明です。
受給できるのは数カ月先のことなので、失業保険頼りで辞めてしまうと後々後悔してしまう事にもなりかねないので注意が必要です。