労働派遣法の改正と3年ルールってなに?

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労働派遣法が2015年9月に改正されているのをご存知の方は多いと思いますが、この改正は現在派遣で働いている人はもちろん、今後、派遣社員として働こうと検討している人も、是非知っておくべき事項です。

法律は難しいし、とりあえず働ければいいや…と思わず、自分の雇用に関わる事としてしっかり理解をしておきましょう。

労働派遣改正法の基本的な内容と、それに伴って発生している「3年」というキーワードについて詳しくご説明いたします。

労働派遣法改正の基礎知識

2015年9月に労働派遣法が改正されました。

これは、派遣社員を守り正規雇用化を目指したもので、改正に伴うポイントは5つです。

  1. 派遣期間の見直し
  2. 派遣社員と、派遣先社員の待遇の均等化推進
  3. 雇用の安定化
  4. 派遣社員のキャリアアップ推進
  5. 全労働者派遣事業の許可制

大きく変わった労働派遣法ですが、ここでは派遣期間の見直しについて解説します。

 

改正以前、派遣社員は

  1. 専門26業種に勤務する人
  2. 専門26業種以外の業種に勤務する人

の2つに分かれていました。

「専門26業種」とは、翻訳家やアナウンサー等、特定の能力に秀でた業務のことです。

専門26業種の派遣社員の人達は、雇用期間に関係なく、何年でも同じ職場で働くことが出来ていました。

専門26業種以外の派遣社員には原則1年、上限3年という雇用期間が決められていたのですが、労働派遣改正法で、これがどのように変更されたのかを下記でご説明します。

3年ルールって何?

労働派遣改正法によって派遣社員は業種に関係なく、全ての派遣社員が

  • 無期雇用
  • 有期雇用

の2つに分けられる運びとになりました。

無期雇用の派遣社員というのは、その名の通り「雇用期限がない派遣社員」です。

人材派遣会社と雇用契約を結び、派遣先企業や雇用元である派遣会社で勤務します。

一方で、企業に派遣されて仕事をする有期雇用の派遣社員は、「同じ仕事に従事できるのが3年まで」となりました。

「3年問題」で使い捨てされる派遣社員が出る!?

労働派遣改正法によって、派遣社員の雇用期間が3年と定められたことで発生しているのが「3年問題」です。

元々は、派遣労働者の正社員化を進める為の法改正でしたが、派遣先企業はこの法改正を逆手にとって、「派遣社員が3年勤める直前に契約を切る」ようになっているのです。

3年経過すると、無期契約の派遣社員に切り替えるという企業もありますが、少数に過ぎません。

この3年という問題は、直接雇用や正社員登用を希望している派遣社員にとっては厳しい現実。

派遣社員の使い捨てされてしまう様な事態が発生しているのです。

いつから適用されているの?

労働派遣法が改正されたのは2015年9月ですが、この法律が適用となるのは、この法改正後に結んだ雇用契約からです。

2015年9月以前に雇用契約をしていれば、その契約満了後、新たに契約更新をする時からこの3年ルールは適用されることになります。

例えば、2015年8月に派遣契約を結んだ人であれば、次の契約更新までの期間、以前の労働派遣法の条件で契約していることになります。

自分がいつ雇用契約をしたかによって、適用される法律が異なるので気をつけなくてはなりません。

3ヶ月のクーリング期間について

同じ仕事を派遣社員として3年間続けた場合、それ以上は勤務することは出来ませんが、3カ月のクーリング期間をおけば、また新たに派遣社員として、同じ職場に復帰することが出来るルールがあるのです。

3ヶ月後、新たに契約する場合も契約期間は3年間であることには変わりありません。

業務内容が変わっても、3年ルールはリセットされないの?

この3年ルールは、業務内容が変わったとしてもリセットされません。

企業に派遣されてから「1年半は事務仕事をしていた派遣社員」が→「後半の1年半はデザインの仕事」を担当するようになったとしても、契約期間は”通算3年”とみなされるので、雇用契約は継続することができないのです。

一方、3年ルールは「組織単位での制限」である場合がポイントです。

配属された課や部での派遣社員としての勤務期間が通算されるので、例えば、「経理部で2年勤務した」後→「同じ企業の総務部に就業した」とすると、働ける期間は1年ではなく、新たにリセットされた3年となります。

ただ、部署を変更するだけでなく、業務内容や仕事を指示する上司等がきちんと変更される必要はありますが、3年ルールが企業単位ではなく、組織単位で制限されていることを理解しておきましょう。

派遣先企業はどのように対応するの?

3年ルールの適用によって、派遣先企業も同じ派遣社員を長期間雇用はできなくなりました。

派遣先企業は、同じ業務に対して派遣社員を雇用し続けることは可能です。

言い換えれば、3年毎に派遣社員を入れ替えれば済むという訳です。

派遣スタッフは契約してから3年後はどうしたら良いの?

では、3年という契約期間が終了した後、派遣社員はどのような対応を取れば良いのでしょうか?

対応としては、以下の3つの方法があります。

  1. 派遣先企業に、正社員や契約社員等、直接雇用への切り替えを依頼する
  2. 派遣会社に次の就業先を紹介してもらう
  3. 正社員や契約社員、アルバイトとして他の勤務先を探す

将来の為に直接契約を希望する人は、派遣先企業と交渉をすることも可能です。

雇用元である人材派遣会社の担当者にも相談をしつつ、話をしてみましょう。

派遣社員としての働き方に魅力を感じている人も、派遣会社の担当者とコミュニケーションをとって、次の就業先を紹介してもらえるとベストです。

派遣にこだわりのない人は、これを機に他の働き方も検討するチャンスだと捉えましょう。

3年ルールによる派遣社員への影響は?

元々は、派遣社員の雇用を守るために改正された労働派遣法ですが、3年ルールによって派遣社員は新たな悩みを抱えることになってしまったことも確かです。

派遣社員として生計を立てている場合には、「3年後はどうしよう」という不安に襲われる人も多いでしょう。

このようにマイナスイメージが先行しがちですが、労働派遣法改正は派遣社員にとってプラスの作用も大きく働いています。

これまでは専門26業種の人しか、無期雇用の対象ではありませんでしたが、改正後は全ての業種の派遣社員に無期雇用の適用が可能になりました。

3年ルールだけでなく、改正された労働派遣法では冒頭に述べたように派遣社員の待遇改善に繋がる項目も多く盛り込まれています。

また、3年ルールが適用になったとしても、派遣社員は融通のきく働き方ができるのに変わりはありません。

その時のライフスタイルに合わせて、働く場所や時間を選択することが出来るのです。

労働派遣改正法によって「非正規雇用労働者の増加に繋がるんじゃないか?」という批判の声もありますが、自ら選択して、派遣スタッフとして働いている人にとっては、それほど問題にはならないでしょう。