派遣社員のメリット・デメリット。どんな人が派遣に向いてるの?
2015年9月、改正労働者派遣法が成立したことが記憶に新しい人も多いと思いますが、この法改正によって、派遣社員の労働環境は改善されつつあり、人材派遣に注目が集まっています。
ですが、実際に派遣社員にどのようなメリットがあって、どんなデメリットがあるのか?をちゃんと把握されていない方も多いのではないでしょうか?
ここでは、派遣社員として働くメリットやデメリットを紹介しながら、派遣で働くのに向いている人についてお伝えさせていただきます。
派遣社員として働くメリットとは?
仕事内容を選べるから、得意なスキルを活かせる職場など、自分のやりたい事を選択できる
派遣社員として働くにあたっては、人材派遣会社の担当者に自分がこれから活かしていきたいと思っているスキルや、あまりやりたくないような苦手な分野・仕事も、事前に伝えて応募を避けることが可能です。
正社員として働いていると、例えば「TOEIC900点の外国語を活かして接客応対等をしたい」と思っていたのに、経理の人手が足りないから経理部に配属にされてしまったり、パソコン作業は得意なのに電話応対メインの部署に配属になってしまうといったケースも少なくありません。
しかし、派遣社員であれば、活かしたいスキルや避けたい仕事を伝えた上で、仕事内容を事前に確認してから契約が出来るので、採用されてからのミスマッチが少なくて済むのです。
最初に聞いてた話と少しでも相違点があれば、人材派遣会社の担当スタッフに伝えれば、改善するように派遣先の企業の方に間を取り合ってもらえるので何も心配は要りません。
また、やりたい仕事が見つかっていない方にとっても、「どんな仕事が自分に合っているのか?」を派遣として短期間でお給料を貰いながら、その仕事が自分に合っているのか?を確認できるので、あなたらしい働き方を探すことができるというメリットもあります。
勤務日、勤務時間、期間を選択できるのでプライベートを充実させられる
派遣会社に登録して働くというメリットとしてよく挙げられるのが「働き方の自由度」です。
特に女性の場合、妊娠、出産、育児・子育て、親の介護などの理由から、正社員として働くことが困難な状態に陥っている方が非常に多く、正社員としては働けないと感じている女性も少なくありません。
だけど、専業主婦では収入が無いし、パートでは時給が安い。。
このような女性におすすめなのが派遣の仕事なのです。
3ヶ月、6カ月などの期間が定まっている求人や、週4日勤務の求人、週3日勤務の求人、子どもの休みに合わせて土日祝日が休みの派遣先を希望しているなど、仕事とプライベートを上手に両立させるためにも派遣という仕事の形態は世の中に必要不可欠な存在なのです。
また、派遣は契約を結んでいる時間にのみ勤務する事になるので、残業はほとんどありません。
仕事内容も契約しているお仕事のみになるので、自分の仕事が早く終わったからと他の人の仕事を手伝う義務もないので、とても気楽なのも1つの特徴です。
企業によっては、始業前に行われる朝礼への出席が不要なところもあるので、勤務時間8時間なら8時間きっかり働けば良く、会社にいる時間は必要最低限で済むというのもメリットです。
返りが遅い日は、正社員が終電までダラダラ残業させられている、なんて企業も物凄く多いですからね。
基本、残業しないで帰られるというのは肉体的、精神的にとても衛生的です。
子どものお迎えの時間が決まっている方や、趣味や勉強等のプライベートの時間を確保したい人にとっては特に、派遣という働き方は特におすすめです。
誰もが憧れる大企業で働くことができる
大手有名企業、人気企業も派遣社員を積極的に雇用しています。
正社員として採用してもらう事は難しくても、派遣社員としてであれば、大企業で働くこともそう難しくはありません。
金融や航空、メディア等の大手優良企業で勤務することが出来るのも派遣社員のメリットでしょう。
何か希望している業界がある方にとっては、その道への転職を肌で感じることができるので、派遣社員として働くことが良い経験なります。
また、大企業で働く正社員や企業体制から得られる学びも大きく、自分の見聞も広げられるので、大企業で働くというのは「○○株式会社で働いている」という大企業で働いているという聞こえよりも、得られる経験や学びの方が圧倒的に多いのです。
直接雇用のパートや正社員よりも時給が高くなるケースがある
派遣社員は時給が高いことで知られていますが、そこにはカラクリがあり
- 「正社員、契約社員、パート、アルバイト等」
- 「派遣社員」
上記2つを比較した場合、最も異なる点は「雇用形態」にあります。
前者は、企業と直接契約結ぶ(直接雇用)のに対し、派遣社員は人材派遣会社と雇用契約を結んで企業に派遣(間接雇用)されているという違いがあります。
直接雇用の場合、企業からすれば、正社員を1人雇うと、厚生年金や健康保険の会社負担等のコストがかかりますし、パートを1人雇っても人事管理等が必要になり、企業の負担は増えるばかりです。。
ですが、派遣社員を雇えば、そのようなコストをカットできるので、その分が給料に反映されやすくなるのです。
ですから、直接雇用のパートはもちろん、時給換算すると正社員よりも良い給料を貰っているなんてケースも少なくないのです。
特に正社員がサービス残業ばかりで働いている職場では、派遣社員の方が給料は比較的高い傾向にあります。
ボーナス(賞与)が無い分、派遣は給料が少ない。。と不安視される方もいますが、最近はボーナス出している企業もそれほど多くないですし、大手も潰れる時代なので、何を選択していけば正解なのかは誰にも分かりません。
ただ、派遣もいくつかの大手優良派遣会社に登録して、派遣先(求人)を紹介してもらえれば、それが短期の案件でも、継続的に職場を紹介してもらえるので、安定的な雇用を実現できます。
高い時給が得られるというのは、夫の収入をメインにしている家庭の女性(主に主婦)や、パートとしての収入に不満がある、短期間で留学資金を貯めたい、生活費を早急に稼ぎたい等、具体的な目標がある人には大きなメリットになるでしょう。
トラブルも安心!派遣会社のサポートが受けられる
- 派遣先企業への不満
- 派遣先で何かトラブルを抱えてしまった
- 伝えられていた仕事内容と違った
- 派遣だけ駐車場が遠い
- 15分と短い時間だけど、毎日サービス残業をさせられる
ちょっとした悩みから、大きな問題・トラブルまでを、人材派遣会社の担当者から徹底的にサポートを受ける事ができます。
実際の仕事内容や人間関係など、直接では言いにくいことでも、人材派遣会社の担当者を通して「改善要求」することができるのです。
契約にない仕事内容を依頼された時も、人材派遣会社の担当スタッフに相談すると企業側と交渉してくれるので、困った時でも安心です。
派遣期間が終了しても次の職場を紹介してもらえる
また、派遣社員は派遣期間が定められており、一つの企業とは「契約期間終了」となることもありますが、その企業での派遣期間が終了しても、取引先多数の大手人材派遣会社であれば、また次の派遣先を紹介してもらうことが可能です。
派遣先の企業で評判が良ければ、次もより良い条件の派遣先を紹介してもらうことも可能です。
パートやアルバイトの場合、その職場を辞めたら、次の働き口を自力で探さなくてはなりませんが、派遣社員の場合は心配無用です。(※ただし、大手優良派遣会社に限る)
派遣社員として働くデメリットとは?
仕事の範囲が限られる
派遣は残業も少なく、自分のプライベートな時間を確保できるというのはメリットではありますが、決められた仕事しか与えられないのがデメリットと感じる時もあるでしょう。
周りの社員は忙しそうにしていているからと、親切心で手伝おうと思われることもあるでしょうが、契約を結んでいない仕事は基本的に手伝うことは出来ませんし、それに「そんな仕事させるために高い時給払ってないんだからやらなくて良いよ」と断られるケースも少なくありません。
仕事内容が多岐に渡る職場であれば、色々な仕事を任せられることもありますが、例えば、データ入力など決まった仕事をこなすことが目的で雇われているのであれば、その仕事を優先して行う必要があるのです。
ボーナス(賞与)や退職金がない
福利厚生制度は揃ってきているとは言え、派遣社員にボーナスや退職金が支払われることはほぼありません。
派遣を不安視する声で良く聞かれるのは「ボーナス」と「退職金」の2つでしょう。
この2つを重要視されるのであれば、派遣はお勧めしませんが、今はどちらも無い企業も多いので、正社員になれば必ず貰えることが確約されている訳ではないのです。
派遣される企業ではなく、派遣会社による雇用になるので、給料は基本的に時給制になります。
ですから、風邪を引いて休んだり、ゴールデンウィークや年末年始等の長い連休が入ると、その分勤務時間が短くなり、手取り額は低くなってしまう場合もあります。
しかし、派遣は時給は比較的高い傾向にあるので、正社員と比べれば働き方もかなり自由になりますし、プライベートを充実させることも可能です。
また、一つの派遣先が「契約終了」となってしまっても、事前にそれが分かっていれば、間があかないように人材派遣会社がすぐに次の派遣先を紹介してくれるので、不安定に思われる派遣の仕事も、実は安定的なのです。
「派遣さん!」と呼ばれる。派遣社員と正社員の壁
「派遣は名前で呼ばれない!?」
常に「派遣さん」と正社員から呼ばれている、名前で呼ばれないという派遣社員の声も度々聞きます。
正社員と派遣社員には見えない壁があると感じている人も多く、人間関係に不安を覚える方も少なくありません。
正社員やパート、アルバイトの人達は、仕事に制限がないので、忙しい時は皆で協力して仕事をしますし、それによって一体感も生まれますが、派遣社員はその輪にはあまり加われないという職場もあるのです。
このような問題は、人間関係に起因する部分が大きいので、職場毎に差がありますが、「仕事は仕事」と、ある程度割り切れる方でないと、ストレスを感じてしまう可能性も無くはありませんので、派遣として同年代が多く働く派遣先を紹介してもらう等、自分なりの対策が必要です。
ですが、派遣の場合は3ヶ月、6カ月など、期間が定められているので、人間関係に少しくらい不満があっても、嫌で耐えられなくなる前に派遣期間が終了するので、人間関係の問題はそこまで深く考える必要はないでしょう。
メリット・デメリットから考える、派遣に向いている人とは?
ここまでの派遣のメリット、デメリットを踏まえた上で、私が考える派遣に向いている人というのは
- パートやアルバイトの収入に不満がある
- 短期間、集中してお金を稼ぎたい
- 仕事も大事だけど家庭やプライベートにもっと時間を使いたい
- 大手企業で経験を積みたい
- 30代、40代からの転職、就職を考えている
- 子育て世代の女性、シングルマザー
- 就職浪人している20代前半の男女
- やりたい仕事が派遣にしか無い
- とりあえず仕事がしたい。仕事の経験が少ない(どんな業界か?お試しで働きたい)
派遣は一生やるものではありませんが、派遣を一定期間のスキルアップとして捉える事ができるなら、時給も高いですし、色々な事が学べるので、とても良いシステムです。
ただ、派遣労働者の待遇が改善されているとは言っても、ボーナスや退職金はほぼ期待できないなど、ネガティブなものもあるという事実を理解した上で働くことが望まれます。
実際、派遣社員が経済的に自立して食べていくのは、フルタイムの勤務や専門的な業種でない限り、まだまだ経済的に楽になることはありません。
それに、そもそもフルタイムで働けられるのであれば、最初から正社員で採用してもらえる求人を検索していますからね。
ですが、何らかの事情があるなら、派遣社員という働き方は時給も高いし、自由度も高いので悪くはありません。
今からお仕事をお考えなら、人材派遣というお仕事の形態も検討されてみてはいかがでしょうか?