日雇い派遣は原則禁止。働ける条件と例外事由をやさしく解説

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この記事では「日雇い派遣の原則禁止について」「例外事由となる対象者」について分かりやすく解説していきます。

日雇い派遣と呼ばれる、いわゆる単発の派遣の仕事には、「試験監督、ライブ会場スタッフ、覆面調査」など、個性的で魅力的なお仕事がたくさんあります。

長期の仕事よりも採用ハードルが低く、自分の都合の合う日に働けてすぐにお金になるので、単発の仕事は様々な年齢層の方に人気があります。

ですが、一日だけの単発派遣は原則禁止となっているものの、例外事由があるので、対象にあてはまる人であれば日雇い派遣で働くことができます。

日雇い派遣について少し詳しく知りたいと思っているなら、ぜひ最後まで目を通してみて下さい。

日雇い派遣の原則禁止とは

改正派遣法が施行(H24年10月1日)されてからは、日雇い派遣は一部例外を除いて原則禁止となっています。

ただ、原則禁止なので、条件にあてはまる対象者であれば日雇い派遣で働くことができます。

日雇い派遣が原則禁止となった理由は、短期派遣の繰り返しは「細切れ雇用」と言われ、いつ仕事がなくなるか分からず不安定だったからです。

そこで、派遣労働者を保護するという観点から、このような雇用形態は最初から止めてしまおうということで改正されたのです。

関連リンク
 icon-arrow-circle-right 労働者派遣法改正のポイント(厚生労働省)

日雇い派遣かどうかの判断基準

日雇い派遣に該当するかどうかは、明確な判断基準が設けられています。

~日雇い派遣に該当するかの例~

雇用期間が1日の労働契約(例:1月1日のみの仕事) 日雇い派遣に該当
雇用期間が30日の労働契約(例:2月の1か月の仕事) 日雇い派遣に該当
雇用契約が31日の労働契約(例:3月の1か月の仕事) 日雇い派遣に該当しない
例:雇用契約が4月1日~5月30日の労働契約で、複数の短期・単発の仕事を組み合わせて働く 日雇い派遣に該当しない
例:労働契約期間が14日間(元々1年間の契約だったが、業務上の都合で延長の必要があり、新たに契約を結ぶ場合) 14日間の新たな労働契約は、日雇い派遣に該当する

つまり、「派遣元である派遣会社」と「登録スタッフ」との間で交わされる労働契約期間が、30日以内の派遣が日雇い派遣かどうかの判断基準になります。

あくまで「派遣元」と「労働者」で交わされる労働契約の期間が基準となります。

派遣先企業との派遣契約期間については、日雇いに該当するかの判断基準にはなりません。

日雇い派遣の原則禁止の例外条件~働くことができる『労働者』4つのタイプ~

基本的には、雇用期間が30日以内の労働契約である場合は認められません。

ですが、以下の4つの労働者に該当される場合は、30日以内の日雇い派遣が認められます。

① 60歳以上の高齢者

60歳以上の高齢者は、年金受給額が年々下がり続けていくという昨今の事情と、高齢者の雇用を確保するという観点から例外が認められており、日雇いで働くことができます。

ただし、たくさん稼ぎすぎてしまうと(年金額+月収が47万円以上)、年金支給額が減らされてしまうので注意が必要です。

② 雇用保険の適用を受けない学生

注意してほしいのは、学生全員が例外を認められているわけではなく、「雇用保険の適用を受けない学生が対象者」となっていることです。

要するに、学業の他にアルバイトをしていない学生のみ認められています。

学業が休みになる土日祝日・夏休み・冬休み・春休みなどの長期休暇がある学生は、日雇派遣に一番適性がある存在と言えます。

※通信制の夜間高校に通いながら、日中アルバイトで100万円の年収を得ている学生は雇用保険の適用を受けているので例外に当てはまらず、日雇派遣で働くことはできません。

③ 生業収入が500万円以上で副業として日雇派遣に従事する人

「主たる業務」で得られる年収が500万円以上ある人にも例外が認められます。

主たる業務とは、複数の仕事をしている場合、その中で最も収入額が高い仕事になります。

対象者の例:年間500万円以上稼げる安定した生業を持っていて、さらに日雇派遣でもう少しお小遣いが欲しい人は例外が認められ、日雇派遣で働くことができます。

非対象者の例:2つの仕事の収入合計が500万円以上で、更に日雇派遣を希望する場合は、「生業収入が500万円以上」には該当しないので日雇派遣で働くことはできません。

④ 世帯収入が500万円以上で主たる生計者でない人

一家族全員分の収入が500万円以上あり、日雇い派遣を辞めてもすぐに路頭に迷うことがない人には例外が認められます。

対象者の例:夫婦2人と子供1人の三人暮らしで全員の収入合計が550万円(夫:400万円/妻:100万円/子:50万円)の世帯の場合、例外が認められ妻と子は日雇派遣で働くことができます。

例外要件を満たさなくても働くことができる『18業務』

上記では、原則禁止の4タイプを紹介しましたが、こちらで紹介する18の業種・職種は、例外要件を満たしていなくても単発で働くことができます。

日雇派遣が可能な18業務一覧
  • ソフトウェア開発
  • 機械設計
  • 事務用機器操作
  • 通訳、翻訳、速記
  • 秘書
  • ファイリング
  • 調査
  • 財務処理
  • 取引文書作成
  • デモンストレーション
  • 添乗
  • 受付・案内
  • 研究開発
  • 事業の実施体制の企画・立案
  • 書籍等の制作・編集
  • 広告デザイン
  • OAインストラクション
  • セールスエンジニアの営業、金融商品の営業

なぜ、以上の18業務に限り日雇派遣が認められているかというと、専門性が高く要員の代替がききにくい業種であるため、細切れ雇用になる可能性が低いと判断されているからです。

派遣社員が日雇い派遣を違反したらどうなる?罰則はあるの?

もし万が一違反して日雇派遣の仕事をしてしまった場合、罰則はあるのでしょうか?

いいえ、派遣法違反で処罰されるのは派遣元の会社であって、派遣社員に罰則はありません。

そもそも派遣会社に登録する際には、年収や世帯年収などを確認されます。

登録後も毎年チェックが入る会社がほとんどなので、対象者かそうでないかは会社が判断してくれます。

ただし、労働者自身が嘘の申告をして日雇派遣の仕事の紹介を受けていた場合は、今後仕事を紹介してもらえなくなり、就業途中で解雇されるなどの処置が取られることもあります。

ですので、くれぐれも正直な申告をするようご注意ください。

関連リンク
 icon-arrow-circle-right 違法行為による罰則、行政処分及び勧告・公表

日雇い派遣と単発アルバイトの違いは?

日雇い派遣も単発アルバイトも、「1日~1,2週間働いて収入を得る」という点では同じなのですが、実は似て非なるものになります。

日雇い派遣 単発アルバイト
雇用主 派遣会社 勤務先の会社や店舗
募集形態 インターネット、求人誌、派遣会社から電話やメールで紹介 知人からの紹介や店先の張り紙などで知ることが多い
就業までの流れ 派遣会社への登録後、求人に応募。採用されれば必要に応じ研修を受け、雇用契約書を受け取り、就業に至る 勤務先の会社や店舗に赴き、面接を受け合否が確定。採用されれば指定日より勤務する
給与の支払い方法 派遣会社を通じて銀行振込により支払われる 銀行振込か、現金手渡し
交通費の支給 最近は支給されることが多い 勤務先による

とくに注目していただきたいのが「雇用主の違い」です。

日雇い派遣は、登録する派遣会社が労働者を雇用をして、派遣先企業へと派遣されます。

しかし、単発アルバイトは勤務先が直接雇用しているので、お給料も勤務先企業から直接支払われます。

働く側の違いとしては、日雇い派遣は間に派遣会社が入ってくれている分、就業環境に不満がある場合は間接的に改善を促すように派遣会社側からサポートがあります。

ですが、バイトの場合は直雇用になるのでサポートなどは一切ありません。

ただ、だからといって、日雇い派遣の方が必ずしも良いとは限りませんが、2つには上記のような違いがあることを頭に入れておきましょう。

単発の仕事をうまく活用し、副業・Wワークを検討しよう

アルバイトしていない学生さんや、60歳以上の方、他の会社でのメイン収入が500万円以上ある人などは例外として日雇派遣が認められています。

また、他にも専門知識を要する指定18業務への派遣も例外としてOKになります。

学生さんなら「授業がない日だけ仕事を入れる」

他の仕事を掛け持ちで働いている人なら「土日に副業・Wワークで収入アップ」

など、単発派遣は様々な活用方法があるので、しっかりと制度を理解し働きましょう。