

「総務省統計局の労働力調査 2020年(令和2年)平均」によると、派遣社員を含む非正規雇用の労働者は『2090万人』と、その数は年々増加傾向にあります。
派遣を含む非正規雇用者への偏見は少なくなりましたが、実際に働く人からは、「このまま派遣で働き続けていて大丈夫なのかな…」「将来のことを考えると不安になる」など、将来への不安の声が聞こえてくる事も確かです。
この記事は、20代の派遣女性に向けて、派遣で働く上での将来への悩みや不安、気をつけておきたいことを紹介します。
でも安心してください。20代という若さは、キャリアを築く上で何よりも貴重な財産です。
今の不安を前向きな行動に変えることで、派遣から始まる素晴らしいキャリアを築くことは十分可能です。
この記事では、20代の派遣女性の現実的で実践的なキャリア戦略をお伝えします。
目次
「正社員と比べて給料が低い」「ボーナスがない」「昇給の機会が少ない」「将来のための貯金ができない」といった経済面での不安は、多くの派遣女性が感じる最も切実な問題です。
特に同世代の正社員と比較してしまうと、焦りや劣等感を感じてしまうこともあるでしょう。
正社員の様に「ボーナスをまとめて貯金する」ということもできないので、毎月カツカツの生活をしている一部いるのが現実です。
また、将来的な結婚や出産を考えた時の経済的な基盤への不安も大きいです。
将来の為にお金を貯めていけるかどうかは大きな悩みです。
「スキルが身につかない」「キャリアアップの道筋が見えない」「転職時に派遣経験がマイナス評価されるのでは」といったキャリア面での不安も深刻です。
特に事務職の派遣では、「代替可能な仕事ばかりで専門性が身につかない」と感じる方も多いのではないでしょうか。
また、「30代、40代、50代になった時に派遣として働き続けられるのか」という長期的な不安も大きな悩みです。
「派遣35歳定年説」を耳にした事のある人もいると思います。
これは、『派遣社員は35歳を越えると一気に就業先がなくなる』というものです。
40代、50代になると派遣会社に登録ができないという訳ではありませんが、受け入れてくれる派遣先が少なくなるのは事実です。
また、今は20代で不自由なく働けていると思いますが、40代・50代になった時に今と同じ様に企業があなたを採用し、働かせてもらえる保証はどこにもありません。
年齢を重ねるにつれて派遣の求人が減ることへの心配は、とても現実的で切実な問題です。
派遣社員は「非正規雇用」という名称の影響もあってか、社会的信用が低く、あまり良いイメージを持ってもらえません。
「派遣は不安定」「正社員じゃないと恥ずかしい」といった社会的な偏見や周囲の目を気にしてしまう不安もあります。
特に家族や友人から「いつまで派遣をやっているの?」と言われると、自分の選択に自信を失ってしまうこともあるでしょう。
その他にも、派遣で働く独り身の女性は、節目となる30歳が近づくにつれて「私って結婚できるのかな…?」と不安に思う女性が多いです。
結婚さえすれば、旦那の扶養に入る事もできますし、寿退社して専業主婦も良いかなと思っている人もいるでしょうが、今のままで婚活が成功するのか?派遣ということに少し不安を抱えている人もいるのです。
派遣から正社員への転職は決して不可能ではありません。重要なのは、戦略的にアプローチすることです。
まず、自分が目指したい業界や職種を明確にし、そこで求められるスキルや経験を分析しましょう。
派遣で培った経験を武器に変えることが大切です。
「複数の企業で働いた経験により適応力が身についた」「様々な業務に携わることでマルチタスク能力が向上した」など、派遣ならではの強みを言語化して伝えられるよう準備しましょう。
また、紹介予定派遣を活用することも有効な戦略です。
最初から正社員登用を前提とした働き方なので、お互いの相性を確認しながらキャリアアップを目指せます。
特定の分野で深い専門性を身につけることで、高い市場価値を持つ専門職への転向を目指す戦略です。
例えば、経理業務の経験を活かして税理士を目指す、人事業務の経験を活かして社会保険労務士を目指すなどがあります。
資格取得には時間と労力が必要ですが、一度身につけた専門性は生涯にわたって活用できる財産になります。
働きながら勉強するのは大変ですが、将来への投資として取り組む価値は十分にあります。
近年、働き方の多様化により、フリーランスとして活躍する女性が増えています。
派遣で培ったスキルや経験を活かして、独立することも選択肢の一つです。
例えば、事務スキルを活かしたバーチャルアシスタント、デザインスキルを活かしたWebデザイナー、ライティングスキルを活かしたコンテンツライターなど、様々な可能性があります。
まずは副業から始めて、徐々に収入を安定させてから独立するという段階的なアプローチがおすすめです。
自分でビジネスを立ち上げることも、大きな可能性を秘めた選択肢です。
20代という若さは、失敗を恐れずにチャレンジできる大きなアドバンテージです。
派遣で様々な企業を見てきた経験は、ビジネスの仕組みを理解する上で非常に価値があります。
また、現場で感じた課題や不便さは、新しいビジネスアイデアの種になることもあります。
小さなことから始めて、徐々に事業を拡大していけば良いのです。
派遣という働き方自体を極めることも、立派なキャリア戦略です。
高いスキルと豊富な経験を持つ派遣社員は、企業からも高く評価され、好条件で働くことができます。
特定の業界や職種でのエキスパートとして認められれば、時給も大幅にアップし、正社員以上の収入を得ることも可能です。
また、派遣会社のコーディネーターやトレーナーとして活躍する道もあります。
実は筆者自身、ブラックな大手上場企業を辞めて、派遣に転職した経験があります。
私が大学を卒業して就職活動をしていた時期は、あまり景気が良くなく、いわゆる「就職氷河期」と言われるタイミングでしたが、その中で何とか大手企業の内定を勝ち取りました。
ですが、仕事は激務で毎日朝から晩までヘトヘト。。
上司にも恵まれず、人間関係も最悪で、4年頑張りましたが、体調を崩してしまい退職しました。
他社と比較すると、恵まれている様に思えた大手上場企業での仕事。
ですが、私がその環境を捨てて人材派遣を選んだのには大きく分けると3つの理由があります。
① 煩わしい人間関係から解放されたかった
大手の正社員として働いていた時の1番のストレスは「人間関係」からくる要因が1番多かったと思います。
面倒な社内の人間関係や、そのストレスから解放されたいという気持ちが、大手上場企業の正社員からホワイトな働き方ができる派遣社員に転職しようと考えた理由の一つです。
② 残業代が普通に支払ってもらえる、働きやすい環境に身を移したかった
正社員として勤務していた大手ブラック企業では、上司からの無言の圧力で残業をきちんと申告できず、残業代はほとんど申請することはできませんでした。
部下の残業時間を減らす事が上司の評価に繋がっていたので、○○時間以上は申告するななど、ほんと無茶苦茶でした。
最近だと、月に100時間以上の時間外労働で自殺者が出るなど、労働問題が明るみになりつつあるので、どの企業も長時間労働に目を光らせています。
企業イメージが落ちれば、株価にも影響してくるので、以前よりはできるだけ社員を早く帰らそうとする感じがどこの企業でも見て取れる感じがしますが、まだまだ不満を抱えている人は多いと思います。
しかし、派遣社員に限ってはほとんど残業を強いられません。あっても月に10時間から20時間程度です。
定時上がりができるのは派遣の魅力だと思います。
③ 正社員の時は「耐える」しか選択肢がなかったが、派遣なら選ぶことができる
正社員の頃は、希望しない部署に配属されても、相性が良くない上司の下で働く事になっても「我慢」をするしかありませんでした。
しかし、派遣であれば「派遣先が合わない」と感じれば、契約更新のタイミングで断れば良いだけ。
辞めても、他の派遣先を探すことも難しくはありません。
ストレスを感じないで済む環境を選べると思ったのが、正社員の仕事に転職せず、派遣を選んだ理由です。
私自身、正社員から派遣社員に転職して良かったと実感する事ばかりです。
ブラック企業体質に馴染めないなら派遣で働くことも検討するべきです。
派遣社員は基本的には支持された仕事を淡々とこなして、定時がくれば「お先に失礼します」と言って周りの事を気にせずにさっさと退社できるのでとにかく気楽です。
周りの人とのコミュニケーションも最低限で済みますし、有難いことに飲み会には声をかけてもらえますが、一度も参加した事はありません。
残業代も聞いていた通りにきちんと支払われます。
職場に関しても、派遣会社の担当者が私のスキル・経験、そして細かい希望を考慮して派遣先を紹介してくれました。
ストレスを感じる様な職場に派遣される事はありませんでしたが、「いつでも職場を変えられる」と思えるのは、精神衛生上良かったです。
派遣で働く上で最も重要なのは、継続的なスキルアップです。
「今の仕事で精一杯」という気持ちもわかりますが、将来への投資として新しいスキルを身につける時間を作ることが大切です。
特に、デジタルスキルは今後ますます重要になります。
Excel の高度な機能、PowerBI、Tableau などのデータ分析ツール、基本的なプログラミング知識など、少しずつでも学習を進めましょう。
オンライン学習プラットフォームを活用すれば、仕事をしながらでも無理なく学習を進められます。
派遣先での人間関係を大切にし、積極的に人脈を築きましょう。
「どうせ派遣だから」と距離を置くのではなく、同僚や上司との関係性を深めることで、新しい機会が生まれることがあります。
また、同じ派遣仲間とのネットワークも重要です。
お互いの情報交換や励まし合いは、キャリア形成において大きな支えになります。
SNSやオフ会なども活用して、業界内外の人脈を広げていきましょう。
経済的な不安を解消するためには、収入を増やすことと同時に、お金の管理スキルを向上させることが重要です。
家計簿をつける、投資について学ぶ、副業を検討するなど、多角的にアプローチしましょう。
特に20代の今から投資を始めることで、複利の効果を最大限に活用できます。
少額からでも始められるつみたてNISAやiDeCoなどの制度を活用し、将来への備えを着実に進めていきましょう。
女性が働きやすく、かつ転職を考えた時も困らない職種は『事務職』です。
20代の女性が今、派遣でキャリアを積むなら事務の仕事を探すべきです。
その理由は以下の3つです。
事務職の求人は未経験からでも応募できる割合が高く、女性であれば20代で就業経験がなくても、派遣先を見つける事ができます。
また、事務職で必要とされるパソコンスキル、書類整理、電話対応などは、社会人として基本となるビジネススキルのため、事務で経験を積むことで、他の仕事にステップアップする事も難しくありません。
特に大手企業で経験を積めると更にポイントが高いです。
30代・40代・50代と、女性が長く安定的に働ける仕事を探すなら、事務の仕事がベストです。
派遣で働く女性のキャリアの作り方は、派遣で実力をつけて、正社員へとキャリアアップしていく方法がベストです。
派遣で働く20代の女性は、まずは3年経験を積んでから正社員への道を検討してみてはいかがでしょうか。
派遣社員が1つの組織で継続して勤務できるのは『3年まで』という3年ルールが存在するので、3年を区切りとして考えて行動すると良いでしょう。
吸収力の高い20代で3年も経験を積めば、どんな企業に行っても通用する仕事ができるようになっているでしょう。
派遣先で頑張って働いていれば「うちの正社員にならない?」と声を掛けられる事もあるので、転職活動をしないまま正社員にステップアップできる可能性もあるので、人生は何が起こるか分かりません。
ですが、そのようなラッキーパンチは無くても、派遣で3年間きちんと経験を積めば、正社員へ転職する際も胸を張れます。
一歩ずつ前に進んでいけば、きっと素晴らしいキャリアを築くことができるはずです。